本年もありがとうございました!

今年は、ART BOOK FESTHIVAL 2016と文学フリマの
二つのイベントに出展しました。

イベントに出てお客さんと顔を合わせて
冊子を買ってもらえるのはとても楽しい経験でした。
表紙を見てピンと来て手にとってもらえたのは、
デザイナーとしても嬉しかったです。

子ども達の紙で作った作品もすばらしかったし、
インタビューさせていただいた
アーティストのみなさまにもお世話になりました。
たくさんの皆様のお力で冊子を作ることができました。

来年は『土で作る』という特集になります。
ぜひ楽しみにしていてください。

では、本年もありがとうございました!

「紙」にまつわるお勧めの本

今回の「紙」にまつわるお勧め本はこちらです。
どれも面白いので、ぜひ読んでみてください。
図書館などにも置いているかもしれません。

 

1.『こんにちはおてがみです』 (福音館書店)
中川李枝子、加古里子、佐々木マキ、スズキコージ、堀内誠一等、他多数/作

2.『とうとうとべた』 (フレーベル館)サラ・ファネリ/作・絵 ほむら ひろし/訳

3.『親子で作る!紙ヒコーキBOOK』(宝島社)戸田拓夫/監修

4.『紙の町のおはなし』 (小学館)クヴィエタ・パツォウスカー/作ゆうき まさこ/訳

5.『基本からわかる150のラッピングアイディア+40のおいしいレシピ』(柴田書店)福田里香/著

2016-1021-books

 

大竹悦子さんのイラストについて

デザインの本場というコラムでは、大竹悦子さんにイラストをお願いしています。
何度か個展やグループ展などでお会いするうちに、
一度、イラストをお願いしてみたいと思っていました。

大竹さんの絵の線はボールペンで描いているそうです。
どんなにあっさりとしたモチーフや、
今回のメーコブのようなかわいいキャラクターを描いても、
濃い味になるのが魅力だと思います。
細部まで細かく描写されており、
その積み重ねが密度に繋がっています。
現在はシンプルだったりあっさりとしたデザインや
イラストが好まれる時代だと思います。
その時代において、濃いイラストを描き続ける姿は
しっかりと自分の個性をもっていると思います。

そして、観ていてちょっと笑ってしまう時があるのも特長だと思います。
絵を見て、笑わせるというのはできそうでできないことです。
ご本人は意図していないかもしれませんが、
特に人物を描いたときなどは、妙なおかしさが、かもしだされています。

例えば、面白いコントは演じる本人達がふざけて見えては笑えません。
本人達がいたってまじめにやっているのに、
いつの間にかどうしようもない状況に
おちいる時ににじみ出てくるのが、おかしさだと思います。
大竹さんの絵も細部まで細かく細かく描写して、
ストイックに驚くほどの密度で描くからこそ、
味わいが出てきてクスッと笑ってしまうのでしょう。

それと、個人的な印象なのですが、
AMラジオ的な味わいがあるのかなと思います。
AMラジオはリスナーの失敗談や悩みなどを、
共感し笑ったりすることで成り立っていて、
飾ることなく生活のにおいがして人間的です。
大竹さんの絵からはそういうAMラジオ的な人間らしさが
感じられると思います。

また、次回もお願いできればと思っております。
みなさん、ぜひ個展などのさいには、
実物の絵を見てみてください!

大竹悦子HP

ohtakesan

「親子で聴きたいオチャノマ音楽04」 扇谷研人さんとの出会い 持田裕子さんのこと

今回、「親子で聴きたいオチャノマ音楽」で
インタビューをさせていただいた、扇谷研人さんとも不思議なご縁がありました。

それは10年程前、2005年にマドレーヌレコードから声をかけていただいて、
『愛のうた』ekipoa(エキポア)というユニットの
アルバムのジャケットをデザインさせていただいたことが始まりです。
そのekipoaというユニットで作詞作曲をしていた中心メンバーが
持田裕子さんというシンガーソングライターの方でした。
そしてそのアルバムのプロデューサーが扇谷研人さんだったのです。

持田裕子さんは90年代からライブを中心に音楽活動を開始。
ブラジル音楽をベースに、独自の感性の言葉とメロディーで歌う
シンガーソングライターでした。ミニアルバム『Way of water』、

『愛のうた』などを発表していました。
ボサノヴァがそれほど日本に普及していない時代から
ブラジル音楽に傾倒し、ユーモアもありつつ、哲学的だったりスピリチュアルな歌詞を
独特の美しいメロディーに載せて歌うスタイルでした。
それから時が流れて、2015年に突然の訃報が届きました。
1年8ヶ月の闘病生活の後、癌で亡くなりました。
というお知らせに本当にびっくりしました。
アルバムのデザインを制作していた当時は、何度かライブにもおじゃまして、その曲に感動しました。
私が当時作っていたミニコミでインタビューなどもさせていただきました。
その後も、どこかで音楽活動をされていると思っていました。
本当に残念としかいいようがありませんでした。
きっとご家族の方や親しかった方々の悲しさは想像以上だったと思います。

また、アルバムをデザインさせていただいた当時、
私は会社をやめアルバイトをしながらデザインをやっており、
どこにも所属しておらず、はっきり言ってただの自称デザイナーでした。
そんな若輩者の私にもちゃんと接してくれて嬉しかったのを覚えています。
未熟ではありましたがデザイナーとして一歩踏み出す自信を持てたのも
持田さんのおかげだと、今でも感謝しています。
その『愛のうた』のプロデューサーが扇谷研人さんだったのです。
持田さんが「『愛のうた』イントロのフレーズは研人くんに作ってもらったんだよ」
なんて言っていたのを覚えています。
また、扇谷さんもインタビューの中で、
「彼女の音楽は手放しで尊敬するんですよ。すばらしい才能を持ちながら亡くなってしまって、すごく残念なんですけど。少しでも知ってもらう窓口になれたらと思うんですよね」とおっしゃっていました。

その持田さんの追悼ライブが昨年2015年6月22日に催されて、
そこであらためて持田さんの楽曲に感動したのと同時に、
バンマスを務められていた扇谷さんの演奏のすばらさに魅了されました。
それから扇谷さんのライブに遊びに行ったり、ピアノアルバムや、
所属されていたバンドのオルケスタ・デ・ラ・ルスなどを聴きました。
ピアノの演奏でこんなに表情豊かに、音楽のジャンルも横断して、
いろんな表現ができることにおどろきました。
また、故郷が札幌で私と同郷というところにも、勝手に親しみを覚えましした。
坂本真綾、西野カナ、平原綾香、辛島美登里など有名歌手の
キーボーディストとして第一線で活躍される中、小学生向けのコンサートなども開催されていて、
オチャノマート的にも、子どもに対するまなざしがきっと優しい方なのかなと思い
勇気を出してインタビューをお願いしました。
持田さん同様、扇谷さんも優しく接していただいて、本当に嬉しく、ありがたく思っています。

扇谷さんのピアノ演奏がすばらしいのでぜひこちらで見てみてください。楽曲は、持田裕子さんの『言葉』です。

そして持田さんの音楽に興味をもった方はこちらのアルバムを聴いてみてください。
タイトルどおり、「愛」に溢れる曲が収録されていて
いつの時代になっても古くならないすばらしい楽曲ばかりです。

P20-ekipoa-1
『愛のうた』ekipoa(持田裕子)マドレーヌレコード

アマゾンでご購入の方はこちら

 

紙にまつわるアーティスト 引地渉さんとの出会い

今回の紙にまつわるアーティストのコーナーで紹介した
イラストレーターの引地さんとの出会いはかれこれ10年以上前になります。
当時小田急線の経堂駅でアートフェスティバルが開催されており、
そこに僕も出展しておりました。
(オチャノマートの前身のような、ミニコミのようなものです)
そのイベントで私のブースの近くに出展していたのが引地さんでした。
当時、私はデザイン事務所をやめていて、デザインを仕事にもできず、
アルバイトをしながら、自主制作のミニコミを作っていました。
なんの立場も無い自分に普通に接してくれて、
それがとても嬉しかったのを覚えています。
そこでお話したのがきっかけでそのミニコミに
イラストをお願いしました。
その後、個展などにお邪魔したり、
デザイン事務所として独立してからは、
何度かお仕事をお願いしたりして、
いつもすばらしい作品を作っていただきました。

引地さんの作品の魅力は何と言っても、
「紙」の素材の魅力です。
コラージュを作品にする人はたくさんいますが、
引地さんのような作品はなかなか見たことがありません。
インタビュー記事でもプラモデルの影響があるとおっしゃっていますが、
プラモデル的な要素を平面に置き換えただけではない、
奥行きというか、画の中に物語りを感じることができます。
また、近未来や、異世界などを描いているのに、
ノスタルジックな感じを受けるのも特長の一つです。
故郷の山や森などから影響を受けてもいると思いますが、
技術を積んだからといってできることではないと思います。
イラストという仕事だけには収まらない、
引地さん独特の芸術的感覚が表現されているのだと思います。
書店には引地さんが手がけた表紙の書籍がたくさんあるので、
読書を楽しむと、同時に表紙の絵もよく見ていただければと思います。
また、これを見た子ども達が影響を受けて、
紙で何か作ってみようと思ってもらえたらこんなに
嬉しいことはありません。
次回の引地さんの個展などの時には、
ぜひみなさん足を運んでみてください!

引地渉さんのサイト

IMG_0648

IMG_0649

ゴールデンウイークの風船問題

ゴールデンウイークが一段落しましたね。
連休で家族旅行や行楽を楽しむためには、
渋滞や行列などさけては通れないハードル
(渋滞を運転するお父さんや、遊園地で子どものために
ならんであげる親にとっては苦行ともいえる)
がありますよね。
その一つで、あまり取り上げられないものの中に風船問題があります。
たかが風船と思うかも知れませんが、なかなかこれが大問題なのです。

家族でショッピングや遊園地に行きますよね。
仮に、お父さんお母さん、子ども二人。
小学1年生の長男と、幼稚園の年中の娘としましょう。
歩いているとお店のお姉さんがにこやかに「風船あるよ〜」と声をかけます。
風船を見ると子どもは「わーい風船だ!」と言って、ほぼ100%と欲しがります。
子どもはその後のことはまるで考えていませんが、
親には以下のパターンになることが目に見えているのです。
「手がふさがる→荷物がもてない→じゃま→だっこする時に絡まる→
イライラ→われる→泣く→泣き止まない→夫婦げんかになる→
しょうがないから代わりにおやつか小さいオモチャを買わされる」
行楽地ですれ違う家族連れが風船をもっている一瞬一瞬は楽しそうかもしれませんが、
その後このドラマが各家庭で必ず行われているはずなんです。

一番たちが悪いのは、遊び始めた最初の段階で風船をもらってしまう時ですね。
なにしろ、一日中風船をもって歩かなければならないのですから。
さらに、屋外なら、風に飛ばされたり、ヒモが木にひっかかったり、
かといってカバンにしまうわけにもいかず、とにかくじゃまなんです。

これだけじゃまなのにも関わらず、
子どもに「風船欲しい」と言われて「ダメ」とは
言えないですよね、親としては。
だから、顔で笑って心で泣きながら風船をもらっているんです。
本当は心の中ではお店のお姉さんに
「そんなに子どもに風船すすめないでください」と言いたいんです。
「その風船をもらった後で、壮絶なドラマが展開されるが、
それをわかってて君は笑顔でその風船を僕らにわたすんだね」と言いたいのです。

家に帰って、運良く無事に持ち帰ることができた、
しぼんだ風船がリビングに浮かんでいるのを見ると、
ゴールデンウイークという戦いを無事に乗り切った戦友にふと見えたりしますが、
やっぱり、じゃまなものはじゃまなんです。