みはにの由来ははにわなんです
こういう活動をしていると、つい他と比べたりしてしまいますが、あせらず、気負わず、お二人ははきちんと自分たちの道を歩んできたようです。初心を忘れずにという気持ちは名前にも現れているみたいです。丹緒子さんによると「“みはに工房”の由来は『はにわ』なんです。私の祖父が人間国宝の鹿児島寿蔵*2といって紙塑人形を作っていた人だったんです。その祖父の教えで『昔の人が土をひねって、はにわのような人型を作ったものが素朴にものを作ることの基本だから、それを忘れちゃいけないよ』というのがあって、それをヒントにしました。み、は『美』の意味です」とのこと。
なるほど、それを聞くと服を作るためにとか、売るためにではなく、美しい、面白いと思った自分の感性に忠実な姿勢がよくわかります。
“みはに工房”のマークにオオカミが使われていますが、孤高で自分の美意識を貫くという感性はオオカミにも重なるところがあるかもしれません。
ぜひ、実物を手にとってみて、その美しい布の魅力に触れてほしいものです。
*1 鹿児島睦(かごしままこと): 福岡市内にある自身のアトリエで、陶器の他、ファブリック、版画などを制作している。
*2 鹿児島壽蔵(かごしまじゅぞう): 人形作家、歌人。1961年紙塑人形の人間国宝となる。
みはに工房: 岸本かや、鹿児島丹緒子(かごしまにおこ)の二人による染色家ユニット。2010年より活動を開始。野生動物(特にオオカミ)、虫、雑木林、木の実、雑草などをモチーフに染布を制作。展示など多数。